工業的に製造するものを作るインダストリアルデザイナー
インダストリアルデザイナーとは、販売される工業製品のデザインを担当する仕事です。
よく似た仕事として「プロダクトデザイナー」や「コンセプトデザイナー」「クラフトデザイナー」といったものがあります。
これらは全て、市販される製品のデザイン部分を担当する仕事ということで共通しているのですが、インダストリアルデザイナーは主に工業的に大量生産できる品物を対象にしているところが大きな特徴です。
反対に「クラフトデザイナー」というのは工芸品をデザインする仕事で、手作りによる工芸品や雑貨品を製造する場合はインダストリアルデザイナーとは職業的に区別をされます。
工業的デザインとはデザインそのものが必要になる製品ではなく、通常の機能を得るために必要となるデザインを追求するということです。
具体的には冷蔵庫や洗濯機のような家電製品や、携帯電話やパソコンなどの電子機器、さらには自動車や飛行機といったもののデザインもインダストリアルデザイナーの担当となります。
なお「プロダクトデザイナー」はインダストリアルデザインを含む広義の製品デザインをする仕事で、上記のような機器類の他、インテリアや文房具、玩具などのデザインも担当します。
最後の「コンセプトデザイナー」は、製品ありきのデザインではなく特定の企画を行うために製品開発とデザインを行っていくという、業界でも特殊な位置づけで、最近のものではコンビニで使用できるセルフサービスのコーヒーメーカーのデザイン開発などが該当します。
デザイン性だけでなく使い勝手が重要
インダストリアルデザイナーは、ここ近年非常に高いデザイン性が求められる傾向がありますが、本来的にはその製品をよりユーザーにとって使いやすいものにする、ということが目的となります。
その年に販売された製品の中でも優れた工業デザインをしているものを「グッドデザイン賞」として表彰していますが、これに選ばれるのは使いやすさとともに、見た目の美しさを備えたものです。
わかりやすいのがスマートフォンや自動車といった身の回りのもので、実際にユーザーが操作をするときにストレスなく使用をすることができるかどうかが、インダストリアルデザイナーとしての腕前にかかってきます。
インダストリアルデザイナーは、もともと機械設計と非常に近い位置にある仕事であることから男性が就くことが多かったのですが、近年では女性のみのチームが作られるなど、新しい動きが見られています。
自動車や家電製品では女性が使うときに便利な機能を盛り込むために、女性をターゲットにした製品では積極的にスタッフを任せるようにしているのです。